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木を組む話123



■継手の話
一般的に使用される継手は下図の通りで、長い材料を使えば継手の数は少なくなります。家造りにはなるべく長い材料を探して使うことが、丈夫な構造を造るポイントになります。
しかし、木材の規格化と機械加工では長い材料を使うことができない場合もあります。そのような場合にはこれらの継手を力のかかる所に使い分けることが大切です。
継手には「男木」と「女木」があります。「男木」は突起状のもの、「女木」は凹状のもので図中央を見てください。ここで継手の約束事。「女木」は「元口」に加工をします。(※元口とは木の根っこ側の事。)「元口」は木の先っぽ(末口)に比べ密度が高いので「男木」が「女木」に差し込まれたとき開きにくいからです。「女木は元口」継手の約束事です。

最近、金物を継手や仕口の部分に使うことも普通となってきました。私たちも使うのですが、あくまでも補助という位置付けです。

木の家の強度はなるべく木で保ちたいと考えます。何故なら、木の家なのには金物が無ければ成りたたないというのも変ですよね。それに床下にシロアリの水溶液薬剤を散布すれば金物は錆びますし、結露や湿気などでも錆びるのですから。
木は山で伐ってから約200年間強度が上がります。法隆寺で使われている檜で伐った時の強度と同じというのですから驚きです。ですから50年後も建てた時と同じ安心を提供したい。そんな気持ちから木の継手を考えれると適切な木使いと技術があれば十分可能なのです。さらに安心の付加として金物を使うという考え方でいけば納得が出来ませんか。
耐震の考え方で金物やパネル等による力の耐えるべき部分と本継手、仕口で耐えるべき部分が違っています。
建物の変形を少なくするために筋違を使い、それ以上の変形には木組で対応するという訳です。また木組の場合は復元力も期待できます。傾いた古い家は手直しをすればきちんと立ち直り正常値に戻すことも可能なのです。
「金物が無ければ成りたたない木の家」、「木で強度を保ち金物を付加した家」
同じ木の家といえば同じなのですが、中身は全くの別物の家。さてどちらの家を選びますか。

■柱のホゾにも意味がある
柱には「ホゾ」が付いています。ホゾは柱の頭と根っこについてる突起物です。もちろん梁や土台の柱を受ける構造材には「ホゾ穴」が掘られています。
柱のホゾは土台を貫通する長さに加工をします。長さでいうと12センチ。最近の工場機械生産の構造材では長くて6センチ前後といったところでしょうか。このホゾの長さにいったいどんな意味があるのでしょうか。私たちが加工する12センチのホゾの意味をご紹介しましょう。

  1. 万が一の雨の進入を考慮して。意外と雨漏りは私たちの気付いていないところでもおこっているもの。その雨が壁の中に進入しホゾ穴の中にたまらないように貫通をさせる。貫通していなければ水がたまり木は腐りますよね。木は小口(輪切りの部分)から水を吸い上げる性質ですので、柱にも土台にも悪影響。昔から当たり前の木使いなのですが、最近はこのような加工がしていない家造りも多いようです。
  2. 木は生きています。夏の多湿、冬の乾燥の季節がありますから木は伸びたり縮んだりしています。木の伸縮は長さの方向での伸縮よりも実は横幅の伸縮の方が割合的に遥かに大きいのです。ホゾは柱の芯の部分ですので腐りにも強くまた伸び縮みも少ないので土台の幅が縮むと貫通しているホゾが基礎に当たり家の傾ぎに対応するという理屈です。万が一土台が腐てしまったとしても同じ理屈で対応します。
  3. 実体験から長いホゾの場合と短いホゾの場合では揺れの違いがあります。私たち大工は建て方の時骨組みの上を歩きまわります。長いホゾの骨組みと、短いホゾの骨組みでは明らかにその揺れは違います。木と木が接する面積が多ければその分色んな方向から加わる力にも対応が出来るということです。

たったホゾ一つのことですが、柱の数だけ違いはあり、家の強度や耐久性にも大きく関わってくるのです。